赤色立体地図weblog

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アガシー湖

「もやもや」というのは、これまでのYounger Dryasの原因についての説明の怪しさ で、日本語版のwikipediaによくかかれている。
 温暖化にともなる氷床の融解で、五大湖付近に、ローレンタイド氷床の堰きとめによる巨大な湖ができてた。それがあるとき、一気に決壊し、大量の淡水がセントローレンス川を通って大西洋に流入し、メキシコ湾流の流れが停まってしまって、寒冷化が進んだという怪しさ100%の説明)
さすがに1年たっているので英語版wikipediaはフォロー済み
http://en.wikipedia.org/wiki/Younger_Dryas
論文はこれ
Evidence for an extraterrestrial impact 12,900 years ago that contributed to the megafaunal extinctions and the Younger Dryas cooling
http://www.pnas.org/content/104/41/16016.full
一番くわしい georgehoward先生のページ
http://www.georgehoward.net/surf%20the%20carolina%20bays.htm
この事件を紹介するナショナルジオグラフィックチャンネルの番組は
http://jp.youtube.com/watch?v=7VO7l43YMTk

カロリーナベイ

アメリカの東海岸ノースカロライナ州付近に多数分布しているカロリーナベイcarolina baysは、長い間成因が不明の地形とされてきました。無数の楕円形の窪地群で、サイズは様々ですが長軸方向が見事にNW-SEに揃っている。高位段丘面にしか見られない。言ってみれば、武蔵野台地上に一面にくぼ地があるという感じです。一見して明らかにクレーターなのですが、これまでは証拠が見つからず断定できないでいたようです。

clovis comet impact

 昨年、AGUが記者会見を開き、彗星のかけらが作ったクレーター群だったという説を発表しました。アメリカでは、肯定派や否定派が入り乱れて、大ニュースとなっていますが、日本では不思議なほど、紹介されていないようです。唯一の例外は、吉田邦夫(2008)草創期の「寒の戻り」の原因はET?!,考古学ジャーナル,2008年7月号。
 彗星は、いったんローレンライド氷床(ミシガン湖付近)にが落ちたあと、反射してカロライナ州に集中して落ちたらしい。落ちた時期は、約1万3千年前。 落ちる寸前に爆発し多数の破片になったようですが、同時に大火災が発生し、ススが大量に堆積したのだそうです。この、black matいう名前の地層は、厚さ数センチくらいで、球形の磁鉄鉱イリジウムナノダイヤモンド、glass-like carbonなど、ETであるという証拠がそろっているのだそうです。この地層の下にで、マンモスの化石がなどまとまって出土することがあり、絶滅の原因となるような大イベントだったようです。

赤色立体地図

この画像は 6mメッシュのLiDARデータから作成した赤色立体地図です。このような地形は見たことがありません。無数の楕円形のクレーターが重なり合うように分布しており、長軸方向がNW-SE方向に見事に揃っています。よく見ると縁が盛り上がり、右下側のほうがやや高い傾向も読み取れます。
 AGUの発表のように、彗星の衝突イベントが、ヤンガードリアス期と呼ばれる1000年に及ぶ寒冷化の原因とすると、いままでのもやもやが吹き飛んですっきりします。