赤色立体地図weblog

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尾根谷度から赤色立体地図

1998年に横山ほかが発表した、地上開度、地下開度、斜度の3枚の画像は、日本列島の地形の見かたを大きく変えるショッキングな画像であった。しかしながら、それらの画像はいずれもグレイスケールであった。3枚の画像を交互に見比べる必要があった。そこで、なんとか1枚に合成してみたら、一目でわかる地形分類のような画像ができるのではないかと思った。
図1は1999年の広島災害の発生域と地形の関連を見るために、3枚の画像をもとに、カラー合成で地形分類を試みたものである(図1)。


http://www.ajiko.co.jp/bousai/hiroshima/DEM/hiro_qua_og_oa_4-low.jpg

その後、2000年になり、地上開度画像に、ネガポジ変換した地下開画像を乗算合成することで、尾根と谷を同時に抽出できることに気がついた。この画像は、地上開から地下開度を引きその結果を2等分したパラメータ尾根谷度として整理した。1枚で尾根が明るく谷が黒く見える画像ができたのである。これで、3枚の画像のうち2枚の画像を1枚にすることができた。あとは、この尾根谷度画像と斜度画像を合成する方法を考えればよい。
尾根谷度の検討の段階で、地上開度と地下開度の散布図を作成してみた。その結果は見事な逆相関関係を示していた。さらに、斜度との関係をプロットさせたところ、図のような関係が認められた(図3)。
これまで尾根なのか谷なのかを指標化するには、様々な方法が考案されていた。たとえば、等高線の曲率を使用する平面曲率(plane curvature)方法と地形断面の曲率(profile curvature)を使用する方法。あるいは両者の平均を使用する平均曲率(average curvature)の方法がある。いずれの方法でも、傾斜とパラメータの相関をとると、無相関とはならない

この尾根谷度画像の上に、急斜面ほどより赤くなるように調整した斜度図を重ねたものが、赤色立体地図である。つまり、横山ほかの3枚の画像を1枚に合成したものということもできるのである。
この手法は、斜度と彩度に比例していれば立体感を生じるというもので、必ずしも赤色であることが必要条件ではないが、赤の場合に、もっとも強い立体感を得られるので、使用することが多い。