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1.4 火山災害(25ページ)

建設計画と地形・地質 地形地質の見方 原稿作成のための整理
図はモノクロになる

1.4.0 火山災害とは


火山噴火

火山噴火は、火山の地下数キロにあるマグマだまりからマグマが地上に移動する現象である。火口から地上にもたらされるものは、その物性によってさまざまな範囲に影響を及ぼす。その種類ごとに特徴があるので、分類して整理する。
マグマは、地下にあるときは高温高圧であり、内部に水や二酸化炭素などの揮発性成分を溶かし込んでいる。地上付近まで上昇してくると、減圧によって急激に発泡し、爆発的な噴火となることが多い。粉砕され2ミリ以下まで細粒化したものは火山灰と呼ばれる、火口の上空、大気圏から成層圏に至る範囲に吹き上げられ、風に乗って遠方に到達する。影響範囲は、風下側に限られる。
マグマが揮発性成分を失い、爆発力が弱くなったものが直接地上を流れたものが溶岩流である。シリカ分に乏しいものほど、液体となるためには高温が必要で、液体は粘性が低い傾向がある。一方、シリカ分が富むにつれマグマは、より低温で液体となり、粘性もより高くなる。極端に粘性が高い場合には、火口の真上に積みあがる場合があり、溶岩円頂丘と呼ばれる。
粘性が高いマグマは、揮発性成分が抜けにくく、地上に到達しても高い割合で揮発性成分を含むことがある。このような自爆性の高い溶岩円頂丘が成長中に崩壊した場合、自爆の連鎖を引き起こし火砕流に発達することが多い。なお、火口上空に上昇した噴煙柱が崩壊して火砕流となる場合もある。
マグマ中の揮発性成分を火山ガスと呼ぶ。大部分は水蒸気であるが、二酸化炭素や亜硫酸ガス、硫化水素、フッ素など有毒な成分を含む場合もある。
このような噴火を繰り返し、火山は火口の上に円錐形の火山体を形成する。これは、脆弱な基盤の上に高く積みあがったり、高温の火山ガスや熱水にさらされて内部が粘土化することが多い。そのため、火山噴火や地震をトリガーとして、山体の大部分が馬蹄形に崩れ落ちることがある。これを山体崩壊と呼び、その堆積物を岩屑なだれと呼ぶ。
また、地上に到達する前に地下で上昇を中断し、潜在円頂丘とよぶ。このような岩体の真上や周辺の地盤は大きく傾いたり、断層を生じることがあり、いわゆる地殻変動である。
火山噴火によって降下した火山灰は、あらゆる地形を同じ厚さで覆う。特に斜面に堆積した場合不安定であり、降雨などによって土石流や泥流となって火山の山麓の広い範囲に被害をもたらすことがある。これは火山噴火直後から、降雨のたびに繰り返えされることが多いので二次泥流ともよばれる。


火山噴火の規模と火山災害

噴火に伴う土砂移動現象が、人間社会に影響を与えた場合に、はじめて「火山災害と」呼ぶ。噴火のきっかけは、破壊現象であるためになか予測は難しい。火山災害は、発生のタイミングが事前にはわからないという点で地震に似ており、影響範囲は洪水と類似している。また、日本には110の活火山があり、49の観測強化火山がある。想定される火山災害の性質は、火山ごとに大幅に異なり、地下のマグマの性質や火口の位置や周辺の地形によって大きく異なる。火山災害は、他の自然災害に比べれば、発生の頻度が低く、影響範囲も狭い。そのため、土地の有効利用はおこないつつも、防災対策としてハザードアップを作成することが多い。ハザードマップは、過去におこった現象は将来も繰り返すという前提に立って作成される。しかしながら、火山活動は周期的ではなく、そのインターバルは非常に長い。また、高頻度小規模の噴火から、低頻度大規模の噴火まで、さまざまな現象があり、低頻度大噴火に対しての社会的な対応が難しい。以下に具体的な現象ごとに詳しく見ていきたい。


1.4.1 降下火砕物

定義

幾何学
火山噴火による降下火砕物のうち、粒径が2ミリ以下のものをすべて火山灰と呼ぶ。灰といっても、高温のマグマが急冷してできたガラスや結晶の破片、岩片からなる。粒径が2ミリ以上で、気泡を多く含む場合、白っぽいものを軽石、黒っぽいものをスコリアと呼ぶ。気泡が少ない場合はラピリと呼ぶ。また、サイズが ミリ以上で形が整っているとき、火山弾と呼ぶ。
なお、マグマの飛沫がそのまま固まった、発泡が良く不定形のものは特にスパッターと呼ぶ。スパッターは、高温酸化により赤色を呈したり、落下堆積後に再度癒着して溶結火砕岩となったり、さらに溶岩流のように重力方向に移動することもある。

写真1 桜島南岳B火口の小規模噴火
2000年1月8日千葉撮影)

サイズによる分類 火山灰 火山砕屑物 
形状と色による分類 スパッター 火山弾 スコリア 軽石
サイズと風の影響 弾道と落下速度 終端速度

このような降下火山灰が、風成層として堆積後
風化による問題 関東ローム層 レス
また、火山地域には、特殊土とよばれる地盤があり、関東ローム層、シラスなど、施工上の問題となることがある。

災害要因

火山灰による被害は、厚さとサイズによって大きく異なる。
また、被害を受ける施設が、住宅や、交通機関

厚ければ 屋根の崩落
桜島の事例などから経験的に土石流発生は10cm程度必要と言われているが
三宅島の200/7/14噴火では、硫酸ミストを含んだ火山灰と水蒸気が反応し、火山豆石を多く含んだ火山灰が堆積した
この火山灰には石膏が生じて、降水反応するなど透水性がほとんど0になったために
厚さ1cm程度でも表面流が発生し、下流で土石流が発生した
その後に発生した新燃え岳噴火では、風下側で数センチの堆積があった。
そこで土石流の警戒が行われたが、実際には、被害をもたらすような土石流はほとんど発生しなかった。
火山灰の性質によって大きく変化することを学んだ。


薄くても 健康被害
火山灰による農業被害

細粒火山灰の付着による農業被害
三宅島 有珠山




火口から上空に噴き上げられた火山灰は、その時の風向と風速によって、どの付近まで到達するのかがきまる。細粒なものほ空気抵抗の影響を受けるので、落下速度が小さくなる。したがって、火口からの距離と降下火砕物の粒径との関係は、遠方ほど細粒火山灰が分布することになる。

なんとか火山灰層と呼ぶときには、必ずしも2ミリ以下の粒子だけに限らないことに注意
ローム層とは
レスとは

fall flow surge

降下火砕物は 地表面を同じ厚さで覆うように堆積する
流れの堆積物は谷を埋めるように堆積する
サージは 谷に厚いが尾根にも薄く分布する


伊豆大島の古期大島層群地層大切断面の例
 

事例

宝永噴火

**

・富士山1707年噴火では、宝永火口から0.7㎞3kmの降下火砕物が放出され、富士山の須走では3mもの厚さで堆積した。
関東ローム層


1.4.2 火砕流

火砕流には溶岩ドーム崩壊型のものと噴煙柱崩壊型のものがある

三宅島2000年噴火での火砕流

三宅島西方1㎞で7月26日の小規模な海底噴火のあと、7月8日に島の中央部の雄山で小規模噴火、その時から崩壊を開始し、7月21日日は深さ450m直径1.5kmのカルデラに成長した。マグマ水蒸気爆発というタイプで、本質物質は黒色のパン皮状火山弾として認められた。噴煙柱は浮力が十分ないために、上昇中に崩壊してカルデラ内に落下、さらに溢れ出したものの一部が火砕流となって、横方向に流下した。速度は分速1キロ程度とゆっくりしたものであった。

写真2 三宅島2000年噴火で発生した、噴煙柱崩壊型の低温火砕流
2000年8月29日三宅高校グラウンドより千葉達朗撮影



1.4.3 溶岩流

 一般に、玄武岩質溶岩流の表面形状に従い、パホイホイ溶岩、アア溶岩および塊状溶岩の3種に分類される。
3種類の溶岩内部構造を図 に模式的に示す。)

マクドナルドの分類


 玄武岩質溶岩が地表に噴出して間もない時期は高温であり、含まれるガス成分の量も多いので粘性が低く、パホイホイ溶岩を生じやすい。溶岩噴泉の基底部から流出するパホイホイ溶岩流はきわめて薄く、多くは2m以下の厚さで板状で波のようにうねり、表面は滑らかである。玄武岩質の溶岩の温度がさらに低下すると溶岩の表面は小さなとげが密集した粗い凹凸に富んだ状態になる。同時に、直径数cmくらいの団塊(クリンカー)が多量に生じて溶岩流全体をスッポリ覆ってしまう。これがアア溶岩である。さらに温度が低下し粘性が増大すると、溶岩流の表面を覆う岩塊は大型(径数十Cm以上)になり、また平滑な破断面で囲まれた多面体の形をとるようになる。これは塊状(ブロック)溶岩とよばれる。塊状溶岩は玄武岩質の溶岩流には少なく、安山岩質、デイサイト質、流紋岩質のものに最もふつうにみられる。これらのタイ’プの溶岩流ははっきりと区分されるものではなく、互いに漸移することが多い。最近のわが国の代表的な溶岩流災害は、1914年の桜島大正噴火、1983年の三宅島噴火(写真2−4−3)、1986年の伊豆大島の噴火などがある。溶岩流は比較的ゆっくり流下するため、避難することが可能で、過去にも大きな人的被害は出ていない。 溶岩流は、溶岩の化学組成や温度、流下場所の地形によって流れの形態や速度が変わります.
SiO2の含まれる割合が少ない場合ほど高温で粘性が低い溶岩流となります。
流量が一定の場合流下中に傾斜が急な場合は幅が狭くなり、傾斜が緩くなると幅が広がりゆっくり流れます
傾斜によって流速が変化した場合、追突の構造や引っ張り構造が表面に現れます
先端部のほうが流速が小さい場合は追突による溶岩じわが形成されます
一方先端部ほど流速が早い場合には、横断方向に溶岩亀裂が形成されます。亀裂は上流側に弓なりに凸となります
表面形態から、パホイホイ溶岩、アア溶岩、ブロック溶岩に分類されることがあります.

溶岩流によって甚大な被害が予想される場合、
人工的に堰き止めたり流路を変えたり冷却したりして、災害を軽減することが試みられています.
流路は地形に従うので、溝を掘ったり、堤防を築いたりして流れを安全な方向に導く方法がとられます.
しかしながら、溶岩流が迫り来る中での工事は危険が伴い、流向きも定まらないことがあり、なかなか困難です
(1)アイスランドの例 港の入り口が堰き止められると島の経済が成り立たなくなるために、米軍の協力も得て、大規模な放水が行われました
(2)イタリアの例 エトナ火山の噴火では、スキー場のすぐ近くに加工ができたため、溶岩流が来るのを防ぐために 
   ブルドーザーで堤防を作りました
(3)ハワイ ヒロ 爆弾投下 あまり効果がなかった
日本でも 三宅島1983年噴火で阿古で放水が行われています
ハワイのkirauea火山の噴火では溶岩流が家に迫ったために
大量の水をかけ守った例が知られています


溶岩流の速度は数キロから数十キロ程度で、走って逃げられる程度である。

しかし、コンゴの 山の噴火では、溶岩湖の底が抜け一気に大量の薄い溶岩流が航測度でゴアの町を襲った
溶岩流の対策は

伊豆大島1986年溶岩
LC溶岩 元町まで200m 停止
その後 2013年度に完成 よく年台風災害 土石流が発生したが 大きな被害はなかった



伊豆大島の溶岩導流堤


1.4.4 火山ガス

写真3 三宅島2000年噴火で発生した、火山ガスの被害
2005年8月 千葉達朗撮影

写真3 植生の被害状況。7月の火山灰とその後の火山ガスによって大きく変色している


1.4.5 岩屑なだれ(山体崩壊

火山は不安定な基盤上に大きく高く成長したり
成長後に内部が熱水変質するなどして不安定になったり
することがある
火山噴火や地震などをトリガーにして、大きく崩れることがある。
山頂部も含んで大きく崩壊した際には、馬蹄形のカルデラ地形が残される
日本国内では、鳥海山有珠山浅間山眉山などでみられる
また、山体の一部が崩壊するだけでも甚大な被害が出る
1982年長野県西部地震では、御嶽山の一部が崩壊し、 川沿いに10km

図 鳥海山の馬蹄形カルデラと岩屑なだれの流山地形

図 眉山山体崩壊と流れ山・熊本との位置関係


1.4.6 地殻変動


1.4.7 噴石・空振

弾道を描いて落下する
桜島のIAVCEIの巡検の写真
桜島の赤い写真を交渉する
火山弾の写真は 御嶽のものか イマサキのものか 
落下後に膨らむことをいう
新燃岳


1.4.8 泥流・土石流

火山噴火の際に、泥流や土石流が発生する場合がある
融雪型の火山泥流と火口湖溢流型である
また、火山噴火後、火砕流や火山灰の堆積した山地では斜面上に不安定土砂が増加し
降雨の際に泥流や土石流が発生する
雲仙岳1991年の噴火では6月3日と8日に規模の大きな火砕流は発生し
6月30日の雨では土石流が発生した
水無川の本流は火砕流で埋め立てられていたために
川は大きくそれ断層沿いの低地を流れた

宝永噴火後の土石流
1978年有珠山の泥流
三宅島の土石流

伊豆大島の2013年の台風災害は 1777年の降下火山灰層が表層崩壊を起こしたのが
原因であった
それは、降下火山灰の2次災害と言える
同様の災害は 富士山の宝永スコリアが 2009年の台風で
静岡県の小山町内で2次移動を行った
噴火を終えてから200〜300年後に発生した
このような土砂災害も2次災害に含めるべきなのであろう

図 泥流と土石流堆積物


噴火様式の話がない
 マグマ噴火 マグマ水蒸気噴火 水@蒸気噴火
軽石が浮く話 土質的には興味深い
桜島のボラ対策
特殊土のこと
 シラス台地 シラスドリーネ
 八戸の液状化 御嶽崩壊と液状化 チキソトロピック